アートをハックする日

選出されたアーティストとエンジニアが一堂に介し、
3日間で即興的に制作した作品を展示

会期 :2015.09.08 (火) 〜 2015.09.13(日)
会場 :3331 Arts Chiyoda メインギャラリー

3331α Art Hack Day とは?

3331α が主催するアートに特化したハッカソンです。
参加申し込みから選出された50名のアーティストやエンジニアが一堂に会し、
芸術と技術が融合した新たな作品を3日間で即興的にその場でつくります。

アーティスト×エンジニア = 現代の預言者

社会の変化を感覚的に鋭く読み解くアーティストの感性をエンジニアの論理的思考と高度な技術とともに具現化した時、それは『未来の変化の兆し』を体験できる形にしている事だと私達は考えています。様々な事象が複雑に絡み合い、同時多発的に予測不能なことがおきる現代において私たちに必要なことは、彼らの作品に含まれるまだ見ぬ課題や価値をいち早く発見することではないでしょうか?

アートの価値と新たな才能の発見

3331α Art Hack Day を通してアートの持つ価値とその可能性をより多くの人たちに知っていただきたいという思い、そして私たちの活動に共感するような新たなアート集団が生まれることを期待しています。
どのような作品を生まれるかまったく予想できない、この混沌とした実験的なイベントに参加し、新たな可能性に一緒に挑戦しませんか?

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2015年のArt Hack Dayは、9月13日まで3331アーツ千代田で開催。

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こんにちは、広報スタッフの塩谷です。

2015年のArt Hack Dayは12チームの作品が発表されました。
今週末、9月12日・13日は3331アーツ千代田でも、多くのパフォーマンスが開催されます。
お見逃しなく!

|「運命的アクシデント」

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作品とコラボしたライブペインティングを実施。
アート部門最優秀賞 受賞作品
・9/12(土) 16:00〜16:15、18:00〜18:15
 
 

|「Sound of Tap Board」

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タップダンサーが作品をしたパフォーマンスを実施
プロダクト・サービス部門最優秀賞 受賞作品
・9/12(土) 17:00〜17:10、17:40〜17:50、18:20〜18:30
  

|「トモダチノカタチ」

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Facebook の友達の繋がり方をキャンドルに切削
下記の時間帯で実施(1人当り10分〜15分程度)
・9/12(土) 12:00〜15:00
・9/13(日) 12:00〜19:00
 

|「ファントム」

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作品を使用したパフォーマンスを実施
佐渡島庸平賞 受賞作品
・9/13(日) 15:30〜19:00(30分おきに実施)

|展示概要

※がついているものは、インタラクション可能な作品

◯アート部門最優秀賞
「運命的アクシデント」
作品展示(公演予定あり)

◯プロダクト・サービス部門最優秀賞
「Sound of Tap Board」
作品展示(公演予定あり)※

◯中村政人賞(審査員賞)
「頭のない口は言葉をしゃべらない」
作品展示

◯齋藤精一賞(審査員賞)
「ONE:個・弧・子」
作品展示 ※

◯中村勇吾賞(審査員賞)
「ニシハラアイリ」
作品展示 ※

◯佐渡島庸平賞(審査員賞)
「ファントム」
作品展示 ※

◯佳作
「トモダチノカタチ」
作品展示(実演予定あり)※

「Time lines」
作品展示(現在調整中) ※

「# drip3331」
作品展示 ※

「水との会話」
作品展示

「あわせ鏡」
舞台展示

「侵食する音」
(映像展示予定)

|開催概要

◯展示会名:3331α Art Hack Day Exhibition

◯日時:09/08(火) 〜 09/13(日) 12:00〜19:00
※09/12(土)、13(日) に一部作品で公演あり

◯会場:3331 Arts Chiyoda 1F メインギャラリー
(住所)東京都千代田区外神田6丁目11-14
(地図)http://www.3331.jp/access/

◯入場料:無料

◯最新情報:https://www.facebook.com/events/431167390406704/

◯作家一覧(敬称略、順不同):64名(12 チーム)
佐藤ねじ / chiaki kohara / 穴井佑樹 / 中村文豪 / マツダ エリ / 泉田隆介 / 池澤あやか / 羽田 成宏 / 中農稔 / 石倉一誠 / 吉田 匡 / 間野晶子 / 瓜田裕也 / 衞藤 慧 / 米澤一平 / 水落 大 / 山本悠 / 松田朕佳 / 甲斐桜 / 大山結子 / 雨宮澪 / NABEKAORU / 野口桃江 / 柳澤佑磨 / イシイカズアキ / 武川大輝 / 芦川 能純 / 志村徹朗 / 小田 裕和 / 坪倉輝明 / 大木 昇 / 渡辺泰仁 / 吉田佳寿美 / 福澤 貴之 / 吉田貴寿 / 只石快歩 / 矢崎裕一 / キタナカアツシ / 川端 渉 / 小山駿介 / 金井啓太 / ドイヒラク / 桂田晋太郎 / 松川 美沙 / 大谷友花 / 池上直子 / 有吉 学 / 吉永益美 / Alvin Cheung / 村上守 / 福田 朝 / 金岡大輝 / 砂山 太一 / 小林 颯 / 根来哲也 / 川瀬浩介 / 行田尚史 / 本多大和 / 長村一樹 / 石林 典飛 / 神田彩香 / 矢口雄大 / 伊東 大騎 / 田野口紘大

◯主催:3331 alpha

◯協力・協賛:
スイッチサイエンス(電子部品および工具/機材の提供)
エンガジェット(メディアパートナー)
Value Press(PR協力)
BRULE(3Dプリンタ貸出)

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「バイオテクノロジーという分野にドアを作ること」BCL・吉岡裕記のハッカソン

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アートに特化したハッカソンArt Hack Day2015も、いよいよ開催前日となりました。

まず最初にぶつかるのは、バックグラウンドも特技も異なる50人超えの芸術家や技術者。
仕事とは違うし、でも遊びでもない。真剣勝負の「ハッカソン」という場で、何が生まれるのか?

Art Hack Day2014の参加者であり、所属するBCLのメンバーとして自らもバイオアートに特化したハッカソンを主催した吉岡裕記さんに、インタビューしました!

吉岡さん右:吉岡裕記さん


| 敷居の高いバイオテクノロジーという分野にドアを作ること

ーーどうしてArt Hack Dayに参加することにしたのでしょう?

吉岡:僕が所属しているBCLというチームの中で、Art Hack Dayのことが話題にあがったんです。BCLはサイエンス、アート、デザインの枠組みを超えたコラボレーションを行っているチームなのですが、特に焦点を当てているのは”バイオテクノロジー”の領域。メンバーの福原とゲオアグ代表の福原が2004年にイギリスでBCLを立ち上げ、現在活動は11年目に入りました。

ただ、バイオテクノロジーと言うとどうしても難しそうに捉えられるし、その成果は一定の領域や研究者のコミュニティ内でしか共有されていません。そこで僕らは日頃、”バイオアート”という形でアウトプットを行い、研究室や学会だけではなくICCのような美術館で展示をしたり、アルスエレクトロニカなどのテクノロジーの祭典を発表の機会としています。

それは、敷居の高いバイオテクノロジーという分野にドアを作る行為でもあるんです。

今回のArt Hack Dayは、プログラマーやアーティストが参加するハッカソンという場に、バイオテクノロジーを掛け合わせると一体どうなるのか。そこに好奇心が湧いて、参加を決めました。

そもそもDNAって”ATGC”という4つの要素で成り立っていて、それって0と1の数字で成立しているプログラミングの世界にもすごく似ている気がするんです。だから、プログラマーの方にも親しみやすい領域なんじゃないかとも思ったんですよね。

| 年齢も違う、出身大学も違う、初対面の全く知らない人たちとのモノづくり

ーー実際参加してみて、最初の1日目はいかがでしたか?

これは喧嘩だな!……と思いました(笑)。だって、年齢も違う、出身大学も違う、初対面の全く知らない人たちが、3日間で何かを作るんですよ。しかも個性が強そうな人たちばかり。

ほんの数時間で、誰と組むか・何を作るかを決定しなきゃいけない。初日のアイデアソンで、全てが決まると言ってもいいくらい。

カオスな状況の中からそれぞれ、5、6名のグループが出来上がるとディスカッションに入るのですが、そこで徐々に役割が見えてくるんです。引っ張る人、整える人、プロトタイプをつくる人、3Dプリンターとかを使える人……という感じに。

役割と目標が決まれば、そこからは技術や知識を活かして作るのみ。でも、決めるまでが大変。そこが勝負ですね。

| アートハッカソンに参加する人に、気をつけてほしいこと

ーー吉岡さんのチームは、どのような制作を?

僕のチームには、バイオアートという領域に興味のある人たちが集まってきてくれました。制作することになったのは、ヒトの名前をタイピングするとその文字列がATCGの遺伝子情報に置き換えられて、映像として出力されるというものです。

制作過程

実は僕自身は、参加する前には別のアイデアも考えていたのですが、チームのエンジニアに「こういう想像してみたんだけど、どうかな?」と言ってもらったものが面白くて。みんなで意見を出し合いながら、決まっていきました。

デスクトップDNA

ただ、そこでちょっと気をつけて欲しいことが……。

ーーなんでしょう?

Art Hack Dayのあと、僕らBCLは金沢21世紀美術館でバイオアートに特化したハッカソンを主催する機会があったんです。そこでは運営側として各チームの動向を見ていたのですが……。

バイオの領域ということもあって研究者の方が多く参加してくださったのですが、研究ってスタートとゴールを設定して進めていくという型があります。でもハッカソンは違う。最初からブレまくりだし、途中で巻き戻ったり、進路変更したりもします。

ゴールを定めて積み上げていく研究に慣れている人には、少し受け入れがたいものがあるかもしれない。逆に、アーティストの方は頭が柔軟なので、コロコロ変わる状況にも上手に乗れている方が多いような印象でした。

ーー研究者、エンジニア、アーティスト。それぞれの職種によって、制作プロセスは異なりますもんね。

でも、ハッカソンの過程で研究者の人たちも変わるんです。

何か不思議な集中力が湧いてきて、制作が佳境に入る頃には、チームがすごく団結していくんですよ。まるで同じ研究室の同期みたいな感覚になってくる。恋愛こそ起こりませんでしたが……あ、僕が知らないだけかもしれないのですが……ハッカソンって、何か異様な空気があります。

短期間で人のつながりが変化していく。それを体験するのは、たまらなく楽しかったんです。

バイオアートハッカソン
金沢21世紀美術館で主催した、Bio Art Hackathonの様子

結果として、賞がもらえるかどうか……というより、素晴らしい仲間との出会いがあったことや、異様な制作プロセスを体感できたこと。それ自体が素晴らしくて、得るべきものを得た、という満足がありました。

Art Hack Dayには、「自分の所属している組織とは、少し違うことをやりたい」ってモチベーションの人たちが集まっています。僕らのチーム以外も本当に面白くて。最初は見ていてこちらが不安になるようなチームでも、最終的にはなんとかなってるんですよね。

バイオチームArt Hack Dayで制作した作品

sasaki誕生Art Hack Dayで制作した作品

sasaki浮遊Art Hack Dayで制作した作品

| 「癖になるから、ひと夏ひとハッカソンは参加したいくらいですね」

ーー開催後も、なにか交流などは続いているのでしょうか?

色々ありますよ。審査員だったロフトワークの林千晶さんに呼んでいただいて、六本木ヒルズで開催されたキッズワークショップ”バイオ祭り”で講師をさせてもらったり。BCL主催のハッカソンに、Art Hack Dayの参加者がエントリーして来てくれたり。韓国でのハッカソンのイベントに招致してもらったり……。

ともかく、ハッカソン特有の異様な集中力と、団結力。あれはちょっと癖になるから、ひと夏ひとハッカソンは参加したいくらいですね。

バイオアートハッカソン集合写真 Bio Art Hackathon 集合写真

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・「陶芸家にも、テクノロジーとの出会いは必要」金理有がアートハッカソンに挑んだ理由
・音楽への疑問を抱き「音楽表現を拡張したい」と訴える國本怜の挑戦
・美大生の新たな就活のカタチになるかも? 能力やスタンスが浮き彫りになる、アートハッカソンという環境

| BCLの展覧会情報

『Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊』
開催場所:金沢21世紀美術館
会期:2015年9月19日(土)-2016年3月21日(月)
詳細:https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=45&d=1726

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登壇者情報 #2:岩渕貞哉 氏

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『美術手帖』編集長
1975年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。2002年から『美術手帖』編集部に在籍、2008年より現職。2015年3月に新創刊の『美術手帖 国際版』編集長も務める。同年5月にアートニュースサイトbitecho[ビテチョー]を立ち上げる

関連リンク:
『美術手帖』WEBサイト
bitecho[ビテチョー]

 

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「陶芸家にも、テクノロジーとの出会いは必要」金理有がアートハッカソンに挑んだ理由

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1980年大阪生まれ。日本人の父と在日韓国人の母を持つ彼の名前は、金理有。
唯一「陶芸家」として、アートのハッカソンArt Hack Day2014に参加した。

金理有

陶芸家……というと、伝統工芸のイメージが強いかもしれない。もちろんその側面もありながら、彼の活動はアートの領域にも大幅に食い込んでいる。

日常使いできる茶器から、ただならぬ存在感を放つアート作品まで、彼の窯から生まれる作品は多種多様だ。横浜トリエンナーレへの出展や国内外のアートフェアの参加など、現代アーティストとしても活躍の幅を広げている。

横浜トリエンナーレ
横浜トリエンナーレ出展の様子

| テクノロジーとの出会いを求めて挑んだハッカソン

「コレクターの友達から、アートのハッカソンの存在を聞いて、これは行かなあかん! と思ったんです」

金は、Art Hack Dayを発見したときのことを思い出しながら語ってくれた。

「油絵の具や、写真技術、映像表現なんかも全部そうですけど、技術の革新があってアートの表現が変化してきた。陶芸というジャンルでも、窯が変われば表現が変わります。今の時代、アートは展示して完成……というものだけではなくなってきた。自分は陶芸家ですけど、もっと今の時代に即した臨場感のある表現を求めてたんです。そこに必要なのは、テクノロジーとの出会いやと思ってました」

大阪在住の金は、募集を見るや否やすぐにエントリー。唯一の陶芸家としてメンバーに選ばれ、2014年8月23日、意気揚々と東京に向かった。

| 自分の活動領域にはいない人たちとの出会い

審査を通った50人のアーティストや技術者が3331アーツ千代田に集まって、自己紹介や意見交換を行う初日。その光景に、陶芸家の気持ちは盛り上がる。

「何かを表現したいヤツが、一人ひとりプレゼンしていくんです。それを聞いて、めっちゃオモロイな…って興奮しました。これまでの自分の活動領域にはいない、変な人がいっぱい。今まで出会ったことのないタイプで、みんな面白いことやってるんです」

……威勢のいい陶芸家の金こそ、他の参加者にとっては「今までに出会ったことのないタイプ」だったに違いないと思わされるが…ともかく、カオスな集まり。それがその後、ただならぬパワーに繋がっていった。

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「陶芸作品を飾るだけではなく、陶芸家の制作プロセスを可視化したい」
金はそうプレゼンし、自身のライブパフォーマンス動画を見せた。

彼が陶芸家という職人の中でいかにセンセーショナルな存在であるかは、ライブ動画からも、話しぶりからもすぐに伝わる。

そんな金のもとに、個性も特技もバラバラな仲間が集まって来た。ハードウェアエンジニアに、デザイナー、建築家、物理学者、そしてダンサーまで。

チーム

| 身体的な行為を、テクノロジーでアウトプット

彼らの軸はすぐに決まった。身体的な行為を、テクノロジーでアウトプットすること。初日に目的を固め、途中2週間の制作期間、金は大阪に戻った。その間、仲間とSkypeやチャットで連絡を取りながら構想や材料調達を進めた。持ち運べるロクロも手に入れた。途中、京都在住のエンジニアと関西ミーティングも開催したそうだ。

そして、いざハッカソンの2日間に突入する。

金のチームには、とにかく多様な能力を持った人たちが集まっていた。彼らの能力をあますところなく表現すべく、パフォーマンス計画はどんどん厚みを帯びていく。

彼らのパフォーマンスを完結に説明するのは難しいが、以下のような流れである。

ロクロを回す金の指先をセンサーが捉え、音や映像に変換する。ロクロを調整する足踏みペダルの踏み具合によって、音楽の速度が変化する。
その音楽にあわせてダンサーが即興で舞い、さらにはダンサーの位置を感知してLEDのライトが動く。ビニールの裏でゆらゆらと動くライトとダンサーは、まるで息を合わせて踊っているかのように見える−−−。

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ハッカソンを終え、各チームの発表に入る。そこで彼らの盛りだくさんのパフォーマンスを披露された側は度肝を抜かれたが、その真ん中でロクロを回す金は真剣そのものだった。

「自分自身が誰よりもパフォーマンスに入り込まないと、見てる人には伝わらへんから」

陶芸家か、アーティストか、それともパフォーマーか。肩書きなんてどうでもよくなるくらい、金の思考はひたすらに前を向いていて、その見た目以上に真摯だ。

| 「これからもっと色んなことが出来る」という確かな実感

「日頃一人で作業してる自分にとっては、チームで制作するというのは新しい挑戦でした。でも、面白かった。テクノロジーと出会いたいという漠然とした希望が、ハッカソンを経て現実になった。この経験をしたから、これからもっと色んなことが出来るな、って実感を持てるようになったんです。世界がむっちゃ広がりました」

彼はArt Hack Day終了後、韓国のアートセンターで開催されるハッカソンにも派遣され、そこでも世界中の「めっちゃオモロイ」クリエイターと出会うことになる。

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韓国で開催されたハッカソンでの一枚。Fabraftらのクリエイター達と。

「世界広いなーって思いました。勢いで行動した結果、何が起こるかわからへん。テクノロジーへの実感も持てたし、それ以上に、良い仲間が出来た。自分が活動をしていく上で、転機となるイベントでしたね」

よく遊び、よく飲み、よく笑う陶芸家。彼はテクノロジーとの出会いを経て、陶芸の歴史に何か新たな石を投じたのかも知れない。未来を作り、歴史を作る。金からは、そんな希望が確かに溢れていた。

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・音楽への疑問を抱き「音楽表現を拡張したい」と訴える國本怜の挑戦
・美大生の新たな就活のカタチになるかも? 能力やスタンスが浮き彫りになる、アートハッカソンという環境

| 参加者募集中:8/14(金) まで

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審査員情報 #4:中村 勇吾 氏

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ウェブデザイナー/インターフェースデザイナー/映像ディレクター
1970年奈良県生まれ。東京大学大学院工学部卒業。多摩美術大学教授。1998年よりウェブデザイン、インターフェースデザインの分野に携わる。2004年にデザインスタジオ「tha ltd.」を設立。以後、数多くのウェブサイトや映像のアートディレクション/デザイン/プログラミングの分野で横断/縦断的に活動を続けている。主な仕事に、ユニクロの一連のウェブディレクション、KDDIスマートフォン端末「INFOBAR」のUIデザイン、NHK教育番組「デザインあ」のディレクションなど。主な受賞に、カンヌ国際広告賞グランプリ、東京インタラクティブ・アド・アワードグランプリ、TDC賞グランプリ、毎日デザイン賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など。

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tha ltd.

 

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登壇者情報 #1:落合 陽一 氏

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筑波大学助教・デジタルネイチャー研究室主宰、メディアアーティスト
1987年東京生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程を飛び級で修了し、2015年より筑波大学に着任。コンピュータとアナログなテクノロジーを組み合わせ、新しい作品を次々と生み出し「現代の魔法使い」と称される。研究室ではデジタルとアナログ、リアルとバーチャルの区別を越えた新たな人間と計算機の関係性である「デジタルネイチャー」を目指し研究に従事している。
音響浮揚の計算機制御によるグラフィクス形成技術「ピクシーダスト」が経済産業省「Innovative Technologies賞」受賞,その他国内外で受賞多数。

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WEBサイト
Twitter

 

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ライラさん

美大生の新たな就活のカタチになるかも? 能力やスタンスが浮き彫りになる、アートハッカソンという環境

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猛暑が続く7月末、渋谷の会議室で初めて会う女性に取材をすることになった。けれども、そこに来た彼女の姿を見て、はっとした。

「ごめんなさい、ややこしい渋谷の真ん中で…」

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車椅子では、少々不便な思いをさせてしまったかも知れない。

「いやいや、コレに乗ってるとね。みんながヒューって道を開けてくれるんだよ!ちょっとエラくなったみたいでしょ(笑)」

関西弁なまりの日本語で答える彼女の姿には、スーパーポジティブな性格が溢れていた。

あらためて彼女の名前は、Laila Cassimさん。日本で生まれ育ち、スコットランドの芸術大学でグラフィックデザインを学び、現在は東京藝術大学大学院の博士課程に在籍中だ。

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彼女は、アーティストとエンジニアが3日間で共同制作をするアートのハッカソン「Art Hack Day2014」にて活躍していたアーティストの一人。厳密にはデザイナーだが、実際のところ、イベントには多種多様な肩書きのクリエイターが参加していた。

Lailaさんは、このイベントを「美大生の新しい就活のカタチになっちゃうかもね」と語ってくれた。一体、どんな経験をしたのだろうか?

| ネガティブをポジティブに変えるものを作りたい

Laila:障害者や高齢者、社会的弱者…そういった人たちって、デザインのプロセスから除外されちゃうんです。私はそういった人たちと一緒に、障害者施設で知的障害や自閉症のある大人達にアートを教えて、そのアートを元に彼らの経済自立と社会参加の元となるイベントやデザインの商品を作ったりする活動をしています。

社会的に弱い立場の人たちって、一見ネガティブに見られがちなんですけど、実際は一人ひとりがポジティブなものを抱えてるんですよ。そこから学ぶこともすっごく多い。

そうやって、日頃から多種多様な人たちと物作りする機会があったから「エンジニアと一緒に物作りをするイベントがある」って聞いて、「よっしゃ、オモシロそう!」と思ってすぐに参加を決めました。

ー 初日、顔合わせを行ってチームを決めていく「アイデアソン」の時は、どんな印象でしたか?

Laila:何名か、自分が表現したいことがある人がプレゼンをしていたんです。そこで私も「ネガティブをポジティブに変えるものを作りたい」ってプレゼンしました。

プレゼン

Laila:すごく漠然としたコンセプトですけど…その言葉だけに共感した人たちが集まってきてくれて。

ー どんなチーム構成でしたか?

Laila:エンジニアが2人、音楽家兼デザイナー、そして19歳の若いアーティスト、デザイナーの私という5人構成。「ネガティブをポジティブに」って言葉に反応した人たちだからか、全員ポジティブな性格でしたね(笑)。

私自身は社会を変える活動をしていきたいけれど、実質3日間の制作期間ではそんな大それたモノは出来ない。じゃあ、日常にある些細な「イラッとするもの」を改善しない? ってところに軸を置いて、みんなでアイデアを出し合ったんです。

最終的に行き着いたのは「服にシミがついたときのイライラをポジティブなものに変える」ってアイデア。くだらないでしょう(笑)?

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ー (笑)。でも、日常のイライラであることには違いないです。

| 制作期間は短い方がエネルギーが集中しやすい

Laila:くだらないことを徹底的に真面目にやろう! というのがチームのスタンスでした。1日のアイデアソンを経て、間の2週間でモノの調達をして、ハッカソンの2日間は寝る間も惜しんで作りましたね。

ー 制作期間は短くなかったですか?

Laila:短いくらいがちょうどいいんですよ。何ヶ月もあって間延びするより、2日だけの方がエネルギーが集中しやすい。最初のアイデアさえ決まれば、あとはそれぞれがゴールに向かって進むのみ。チームの一体感はすごかったですよ!

ー チームの中で、Lailaさんの役割は?

Laila:私はデザイナーなので、アーティストが提起したアイデアをビジュアル化していく役割でした。そこで出来たビジュアルを「これ出来る?」ってエンジニアに聞くと、すぐにフィードバックがもらえる。それを受けて、デザインを調整していく。そうやって真横にいる人と対話しながら作れる現場は貴重ですよね。

そうして完成したのがシュミレーターならぬ「シミレーター」というゲーム作品です。シミをこぼしてしまったシャツを的にして、シューティングゲームをやるっていう、ね(笑)。

シミレーター
シュミレーターをプレイする、審査員の林さんと高橋さん

会場の様子
盛り上がる会場の様子

Laila:これだけだとしょうもないので、シューティングが成功した部分がそのまま柄になったTシャツが作れる、というところまで提案しました。

シミレーターEC
シミレーターEC2

| アートハッカソンは、芸大生の就職活動の新しい形になるかも

ーArt Hack Dayが終わった後は?

Laila:ここで江渡浩一郎さんの賞をいただいて、ニコニコ学会βに登壇させていただくことになったんです。楽しかったですよ!ニコニコ学会、とてもカオスで(笑)。

それ以外にも、私自身のテーマでもある「障害の現場から障害の未来を作る」という内容でイベントに登壇させていただく機会をいただいたり、次々と新しい世界が広がって。

もしかして、Art Hack Dayみたいに自分のスタンスや制作プロセスを浮き彫りにするイベントこそ、芸大生の就職活動の新しい形なんじゃないかな、と感じましたね。

| 誰でも簡単に物作りが出来る時代だから、作りながら考えることが重要

ー 物作りをする上で、芸大との違いは?

Laila:大学の授業だと「この課題について考えて来てください」という宿題があって、それを一人ずつ黙々と制作してしまう。私の通っていたスコットランドの芸大だと、先生も生徒もディスカッションしながら制作することが多かったけど、日本などの芸大の多くって「極める」というスタンスが強いんですよね。

自分と向き合って、師匠から学んで、制作室に籠って物作りをする。みんな自分の技術や能力を確かめてる過程だからそれで良いのかもしれないけど、もう少し外に向いていっても良いんじゃないか、と私は思うんです。

Art Hack Dayではいろんな役割の人と一緒に物作りをするから、自分の役割が浮き彫りにされます。私の場合は、アーティストの言葉をビジュアライズしたり、エンジニアとコミュニケーションを取ったり…そんな過程で「私って、こんな能力があったんだ!」ということに改めて気づけました。

それに今って、物を作る時の制作時間がどんどん短縮していますよね。3Dプリンタやレーザーカッターが気軽に使えるようになって、プロトタイプを作ることが簡単になりました。だから今の時代の物作りって、とにかく作ってみることが大事だと思うんです。作っては試し、作っては試し…そんな中でよりアイデアが生まれていって、精度の高いものが出来上がるはず。

簡単なグラフィックデザインなら誰でも出来る時代だし、インターネットですぐに専門的な知識を得られる。そんな時代だからこそ、「作りながら考える」という行為は重要になってくると思います。そこで、エンジニアと一緒に作りながら考えていくこのイベントは、短期間ながらも、新しい物作りのあるべき形に触れられたようでした。

| 「ハッカソン」は自分には関係ない、そう思う美大生こそ参加して欲しい

私自身の物作りのスタンスとしては、人と関わって、生涯を通して人の役に立ちたいと思っています。天才じゃなくていい、凡人でいいんです。

そのためには、ハッカソンのように複数の人と物作りをすることも、コミュニティを広げることも、とっても大切でした。

ただ「ハッカソン」って言葉を見ると、テクノロジーイベントだと思って美大生は関係がないと思うかもしれないけど…そう感じた人こそ、得られるものは多いんじゃないかなぁ。

残念ながら、今年の東京藝大の学祭と、Art Hack Dayの開催日がかぶってるんですけどね(笑)。でも、藝祭は来年も再来年もあるから! 私は参加して本当に世界が広がったから、きっと今年も、面白い出会いが生まれる場所になるんじゃないかな、って期待しています。

ー Lailaさん、ありがとうございました!
(取材協力・Tech Lab Paak

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「アートのハッカソンって何?」Art Hack Dayへの素朴な疑問をディレクター青木さんに聞いてみました!

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こんにちは!Art Hack Day運営チームの島崎麻里子と申します。
今年も、“アートのハッカソン”「Art Hack Day」が8/22(土)、9/5(土)、9/6(日)の3日間開催されます。

私は今年からこのイベントに関わることになったのですが…

現在公開されているディレクターである青木さんの「Art Hack Day」に対する想いや、前回このイベントを体験された参加者の方のインタビューなどを読むと、
この「Art Hack Day」はアーティストとエンジニアをつないで、アートの新しい表現方法を模索していく、アートの世界にとってもテクノロジーの世界にとっても革新的で“ものすごいことが起こりそう”なイベントであるように感じます。

初参加の私自身2015年の「Art Hack Day」がどうなるのかワクワクしています!
ですが、美大で芸術学を学び、アート側の知識は人並みにあるものの、“テクノロジー音痴”の私の頭の中にはたくさんの疑問が浮かんできました。

「そもそもハッカソンってなんだろう…ハッキング…??」
「具体的にどんなことをするイベントなの?」
「テクノロジーの知識がなにもない人でも参加していいのかな…?」

アートの領域で活動する多くの方にとって、同じような不安があるかもしれません。

そこで、ディレクターの青木さんに気になることを聞いてきました!

 

Q .――そもそも「ハッカソン」って何ですか?

A. ――ハッカソンは、もともとソフトウェア開発分野で行われていたイベントで、プログラマやグラフィックデザイナー、ユーザインタフェース設計者、プロジェクトマネージャらが集中的に共同作業をイベント形式行うものです。ハックとマラソンを掛けあわせてた造語なんですよね。(参考情報:Wiki
「Art Hack Day」は、そのハッカソンをアート分野に適用したものになります。つまりアートハッカソンですね。昨年、日本で初めて開催しました。

 

Q.――「アートのハッカソン」ということは、アート作品を短期間で共同作業するということでしょうか?

A.――はい。参加申込者の中から選出された50名のアーティストとエンジニアが一堂に会し、その場で組んだメンバたちと即興的に制作します。

 

Q.――イベントは3日間にかけて行われますが、どのようなスケジュールなのですか?

A.――8/22(土)は、まず制作する作品のアイデア出しとチーム分けを行います。その後2週間は、技術検証、部品調達や部品制作、9/5(土)、9/6(日)に作品の最終制作と発表、そして審査員による講評を実施します。

 

Q.――チーム分けはどのように行われるのでしょうか?

A.――ディスカッションを通して生まれてきた作品のアイデアを全員に共有し、その作品制作に関わりたい人が自発的にチームに分かれます。1チーム、大体5名程度になります。

 

Q.――2週間の制作期間は、それぞれのアトリエや会社で作品制作を行うのでしょうか?

A.――2週間の間は、技術検証や部品調達やその部品の制作などが主になります。部品の大きさなどにもよりますが、ご自宅やチームメンバーがもっているスペースで作業をされていたようです。
希望者には、9月オープン予定の3331α Studio のスペースを貸し出すことも可能です。散らかっていますが(笑)

 

Q.――2週間の制作時間はチームで配分して決めるんでしょうか?2週間毎日時間を創るのは難しいかも…

A.――参加者のみなさんは、会社にお勤めの方もたくさんいらっしゃいます。仕事終わりやお休みの日など、集まれる時に集まれる人が作業をする…という形で制作を進めるチームがほとんどでしたよ。短期間というのもあり、この期間だけはいつもより帰宅時間を早め、作業されている方もいました。

 

Q.――参加するにあたって必要な技術や知識はありますか?テクノロジーやシステムの知識が全くなくても参加できますか?

A.――多分野の人たちに参加いただけるように参加者を選考させて頂いております。
アーティストの方は、テクノロジーやシステムについて知識がなくてもまったく問題ありません。

 

Q.――本当の本当に“テクノロジー音痴”でも大丈夫ですか?やっぱり不安です…

A.――本当の本当に大丈夫です(笑)前回参加してくださったアーティストのみなさんの中にも、テクノロジーの知識がない方が大勢いらっしゃいました。
むしろテクノロジーと縁遠い方の方が、エンジニアとのコラボレーションで多くの発見があるようです。新しい表現方法に挑戦したい方は、ぜひぜひご応募ください!

 

Q.――具体的にどのような作品が作られたのでしょうか?

A.――表現方法やアプローチはチームによってさまざまです。参加してくださったアーティストのみなさんの専門とされる分野によって作品の方向性が変わっていくと言えます。
アーティストのみなさんが自分の得意な分野や表現したいお題についてプレゼンし、それについてエンジニアが実現可能な方法を提案する…その繰り返しで作品の方向性をチームで話し合って決めていくというイメージです。

 

以上でQ&Aを終了します!気になる項目はありましたでしょうか?

“アートのハッカソン”に興味があるし、自分で作品作りをしたり、表現したいコンセプトは持っているけれど、テクノロジーについてはまったくわからない!

反対に、仕事や自主制作でシステムを作ったり技術に関する知識はあるけれど、アートについてはまったくわからない!

そんな方のご応募を「Art Hack Day」はお待ちしております。

 

たくさんの仲間と一緒に、アートと技術の新しい可能性を探す2週間の熱い夏を体験しませんか?

 

 

| 参加者募集中:8/14(金) まで

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審査員情報 #3:佐渡島 庸平 氏

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株式会社コルク 代表取締役社長
2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社、コルクを設立。現在、漫画作品では『オチビサン』『鼻下長紳士回顧録』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『テンプリズム』(曽田正人)、『インベスターZ』(三田紀房)、『ダムの日』(羽賀翔一)、小説作品では『マチネの終わりに』(平野啓一郎)の編集に携わっている。

審査員からのメッセージ:
「たとえばインターネットの中だと、作品の温度を感じることがなかなかできません。しかし、それは未来永劫無理なのか?今、技術の過渡期にあるから、温度を感じられないだけだと僕は思っています。インターネットの中の作品に温度を与えるのは、プログラマーの仕事です。これからプログラマーは、どんどんクリエィティブな仕事へとなっていくと思っています。温度を感じさせるものを見れるのを楽しみにしています。」

関連リンク:
株式会社コルク

写真:神戸健太朗(KENTARO KAMBE)

 

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國本怜_藤元翔平

音楽への疑問を抱き「音楽表現を拡張したい」と訴える國本怜の挑戦

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(取材:小川未来 編集:3331α)

2014年8月23日。日本初のアートに特化したハッカソン「Art Hack Day 2014」に集まった50人は、多かれ少なかれフラストレーションを抱えていた。ある人は、アートコミュニティへの閉塞感に対して。またある人は、企業の枠組みを超えられない技術者という職に対して。

中でも音楽家の國本怜は、「音楽」という型にはまった表現形式、そしてビジネスモデルに、強いフラストレーションを抱えていた。しかし悲観するのではなく、「新たな音楽表現を生み出したい」という強い意志も携えて。

國本怜_藤元翔平
左:國本怜 右:藤元翔平

| 固定観念から解き放たれた、音楽表現の場を求めて

16歳の頃からギタリスト/作曲家として活躍していた國本。CDアルバムをつくり、タワーレコードに並べられ、メジャーデビューの誘いを受けることもあった。ただ、その枠の中で進むことに強い違和感を抱き、誘いに乗ることは出来なかった。

そこで國本が手にしたのは楽器ではなく、Max/MSPというプログラミング言語。20歳の頃から独学で習得し、メディアアート作品の制作にサウンドデザイナー/エンジニアとして関わり始めた。音楽と数学の知識と「音楽表現を拡張したい」という強い意志が合わさり、1年後には世界中のメディアアート制作の現場で活躍するまでに至った。

しかし釈然としない悩みも抱えていた。アートという枠組みの中では、まずビジュアル表現が先行し、そこに音楽が後付けされることが多い。

メディアアートの制作現場でプログラミングをしていても、あくまでも國本は「音楽家」である

「音楽表現を拡張したい」國本はそんな意志を持って、Art Hack Dayに参加した。

| クリエイターと出会うことで生まれる、新たな芸術表現

技術者、芸術家、デザイナー…様々なクリエイターたちに、國本は自らが抱えている違和感を投げかけた。

oz_音楽の拡張チームづくり前に、自らの違和感をボードに書き込む國本

そんな問いかけに、4人のクリエイターが関心を持った。構成は、プログラマーの谷口真人、書家の吉永益美、ハードウエアエンジニア/アーティストの藤元翔平、データサイエンティストの小副川健。それぞれが異なる技術を持っていた。

「一人で作曲したり、プログラミングしていても発見は少ない。音楽家のR&D(研究開発)として、他領域と一緒に創作する必要性を感じてArt Hack Dayに参加することを決めました。そのタイミングでは具体的な作品プランなんてなかった。しかし、50人のクリエイターの中に書家である吉永さんがいた。そこで、”書道を音楽表現として拡張する”という形が、思い浮かんだんです」

書の更新コンセプトArt Hack Day初日、チーム結成後に制作プランを発表する

「最初は難しいと思いました。ほぼ初対面で、スキルがどれくらいあるかはわからない。でも結果的には、本当に優秀な人たちが集まっていた。いちばん大きかったのは、ものづくりの姿勢が同じだったことです。全員が自分の領域にプライドを持って、最後までクオリティを重んじていた。だから互いの専門性にリスペクトを持てたし、相手の領域に意見もできた」

そうして1日のアイデアソン、2日のハッカソンを経て生まれた作品は、「Moment In Emotion #caligraphy」と名付けられた。

書の更新

書道という古典的な芸術が、リアルタイムに音と映像に置き換わる作品だ。具体的には、Webカメラと圧力センサーを内蔵した筐体から、筆圧、半紙における筆の座標、墨が半紙を占める割合、筆の速度を解析し、得られたデータを映像と音楽で出力している。

書道、音楽、ハードウェアエンジニアリング、映像プログラミング、データ解析という5人の専門分野があったからこそ、短期間で実現できたものだった。

「Moment In Emoton #caligraphy」は、のちにミラノ万博日本館に招致されパフォーマンスを披露するほどに、大きな評価を得た。


ミラノ万博での制作・パフォーマンスの様子

| アートのハッカソンにおいて、プログラミングは必須ではない

「僕はプログラミングをしていたから”ハッカソン”というプロセスは受け入れやすかった。だけど、自分は音楽しかできないという人にこそ、『3331α Art Hack Day』のような場で得られるものは多いんじゃないかとも思います。

たとえば、ヴァイオリンでクラシック音楽を小さいころからやってきた人。ヴァイオリンは、当たりまえのようにみんなが同じ姿勢で4つの弦をコントロールして、当たりまえのように五線譜をみて演奏する。それも歴史があって素晴らしいけど、今の時代に改めて考えると不思議な感じもする。もしそのことを不思議とおもうなら、その疑問を提起すればいいんです。

あるいは他の参加者からの『なんで五線譜を使ってるんですか?』という質問をきっかけに、『じゃあ新しい譜面をつくろう』という発想につながるかもしれない。それってもう音楽表現の拡張の第一歩で、アート的な行為です」

國本は、プログラミングにこだわる必要もないという。

「Art Hack Dayでは本当に良い出会いと制作環境に恵まれました。色んな文脈から解放されて、初対面の人と純粋に良いものをつくることに専念できる機会はそうそうありません。ただひとつ、今年以降に進化をのぞむとしたら、プログラミングという文脈からも解放されてもいいんじゃないか、ということ。昨年は、みんな当然のようにプログラミングをしながら作品をつくっていたけれど、そこに柔軟なアイデアがあれば、デジタルな手段だけに頼らなくてもいいと思います」

ー ハッカソンという場に即興的に集まった仲間で、どんな作品が生まれるかは未知数だ。

しかし、自分がいる世界や組織、業界に対して何かフラストレーションを抱えているクリエイターであれば、きっと好機になるだろう。

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